登録日:2023.11.14

空室率は賃貸経営の重要指標!計算式や対策方法を解説

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目次

賃貸経営において重要な指標の1つが、「空室率」です。
健全で安定した賃貸経営を実現するには、いかに空室率を下げられるかがカギとなります。

今回は空室率とは何か、その現状や目安、計算方法などの基礎知識の他、空室率を下げるための6つの対策方法についても解説します。

空室率とは

賃貸経営における空室率とは、物件全体の部屋数に対する空室の割合のことで、物件の収益性や、需要・供給のバランスを示す重要な指標です。

空室率が上がると家賃収入が減るだけでなく、防災や防犯面のリスクが高くなるため、空室率を下げることは不動産オーナーにとって重要な課題だと言えます。

賃貸住宅の空室率の現状

株式会社タスの「賃貸住宅市場レポート」(2022年12月版)※によると、1都3県における賃貸住宅の空室率は2021年に上昇しています。
これは、コロナ禍でリモートワークが普及したことで、首都圏から地方への移住が進んだことが原因とされています。

しかし、2022年に入ると空室率は減少していることから、移住の影響は一時的だったと考えられます。

また、東京23区の空室率は、1都3県の中で最も低いというデータも明らかになっています。

少子高齢化により全国的に空室率は上昇傾向とも言われていますが、あくまで平均値であり、このように地域によっては空室率が抑えられているエリアもあります。

参考:株式会社タス「賃貸住宅市場レポート」(2022年12月版)「分析:株式会社タス」

空室率の目安

賃貸経営における空室率の目安は、20%と言われています。
これは、国土交通省が発表した「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」の中の「賃貸住宅の空き家の割合は18.5%」というデータによって示されています。

しかし、空室率20%を具体的な数値に置き換えると、例えば10戸のうち2室が年間を通して空室であるということです。
そう考えると、空室率20%では決して十分な収益性を保っているとは言い難いでしょう。

収益性を上げるためには、空室率を5〜10%程度に抑えるのが理想です。
ただし、この数字もあくまで参考程度にとどめておいてください。
というのも、エリアや賃貸物件の構造によって空室率は異なるため、「何%が理想」とは一概に言えないためです。

所有する物件や、購入を検討している物件の空室率を検討する際は、エリアや構造を考慮し、周辺の競合物件と比較した上で可否を判断すると良いでしょう。

空室率の計算方法

さて、ここからは3種類の空室率の計算方法を解説します。
それぞれ目的に応じて使い分けてください。

特定の時点での空室率

空室率=空室部屋数÷総戸数×100

最も一般的な空室率で、不動産会社や管理会社などで使用されることが多いです。
特定の時点での空室率なので、あくまで目安であり、さらに正確な情報を知るためには後に紹介する計算式を使用することをおすすめします。

例:全10戸のうち2室が空室だった場合
空室2室÷全10戸×100=20%

年間稼働に対する空室率

空室率=(空室数×空室期間)÷(全体の室数×365日)×100

年間の家賃収入が発生している日数のうち、空室がどれだけあったかを確認できます。
より実情に近い空室率を知りたい場合は、この計算式を使用すると良いでしょう。

例:全10戸のうち2室が90日間空室だった場合
(空室2室×90日間)÷(全10戸×365日)×100=約5%

年間の賃料に対する空室率

空室率=空室による未収入賃料÷年間総貸出賃料×100

賃料を基準にした空室率で、家賃の回収率を確認できます。
主に収支計画など、賃貸経営において最も使用される空室率です。

例:全10戸のうち5室が10万円・5室が8万円の物件で、10万円の部屋が2室6ヶ月間空室だった場合
(10万円×2室×6ヶ月)÷(10万円×5室+8万円×5室)×12ヶ月×100
=120÷1080×100
=約11.1%

空室率が高くなる原因

冒頭でも述べた通り、空室率を下げることは不動産オーナーにとって重要な課題です。
空室率を下げるためには、まず空室が出てしまう原因を探り、適切に対処する必要があります。

そこで、空室率が高くなる一般的な原因を3つ紹介します。

需要の減少

人口が減少すると当然、物件の需要も下がります。
日本は少子化で全国的に人口が減少傾向にあるものの、首都圏など都市部に人が集中するため、こうしたエリアでは依然として賃貸の需要が高いです。
そのため、空室率の改善のためには賃貸需要の見極めがカギとなります。

しかし、人口が集中しているエリアであっても、物件に魅力がなければ入居者が集まらず、空室率も上がってしまいます。
特に、築年数が経つにつれて需要も低下していくのが一般的です。
外観や内装が古く老朽化している物件は、内見すらしてもらえない可能性も高いです。

入居希望者を増やすためにも、老朽化した物件はリフォームを検討することをおすすめします。

募集活動が不十分

賃貸を探す際は、まず不動産のポータルサイトで物件情報を見るという方も多いため、ポータルサイトに掲載する情報は非常に重要です。

物件の写真が少なかったり、設備などの詳細な情報が不十分だったりすると、物件の魅力が伝わらず入居希望者が集まらない可能性があります。

ポータルサイトの情報が更新されていない、あるいは不足している場合は、掲載情報の見直しが必要です。

魅力的な競合物件

首都圏など賃貸需要が集中するエリアでは、競合物件も多くなります。
数ある物件の中でも、築年数が浅い物件や、オートロック・宅配ボックスなどの人気の設備を備えた物件は選ばれやすい傾向にあります。
また、古い物件でも、リノベーションを行って人気を集めるケースもあります。

所有している物件の魅力が十分だとしても、似たような条件で少しでも賃料が安い物件があれば、そちらが選ばれる可能性が高いです。

賃貸需要の高いエリアでは、特に競合物件を入念にリサーチする必要があります。

空室率を下げるためのポイント

空室率が高くなってしまう原因を特定したら、原因に合った対策を講じます。
ここでは、主な空室対策を6つ紹介します。

ターゲットの見直しを行う

年代や家族構成、属性など、どのような人物に住んでもらいたいかを明確にし、ターゲットに応じて設備を整える方法です。
一人暮らしの女性をターゲットにするならオートロック完備の物件など、ターゲットに合った設備を用意します。
近年では、例えば猫の飼い主をターゲットにしたキャットタワー付きの物件など、ニッチなニーズに対応した物件もあります。

また、ターゲットを絞るのではなく、広げるという選択肢もあります。
ワンルームでも2人入居可にする、学生向けの物件を社会人も対象にするなど、ターゲットの拡大も検討してみてはいかがでしょうか。

賃貸の掲載情報を見直す

不動産のポータルサイトに掲載されている情報を見直し、入居希望者を増やす方法です。
特に、SUUMO・at home・HOME’Sなどの大手サイトに掲載されている情報は、優先的に見直しを行いましょう。

主な見直しのポイントは、次の通りです。

  • 暗い写真になっていないか?
  • 設備に登録漏れがないか?
  • キャッチコピーは適切か?

もし、他の物件の掲載情報と比較して品質が悪い場合、情報の修正が必要です。

ポータルサイトへの掲載を不動産会社に委託しているオーナー様は、「修正依頼をかけても対応まで時間がかかる」「思い通りに情報を作成してくれない」などのお悩みをお持ちではないでしょうか。

不動産のポータル掲載システム「ECHOES」では、オーナー様自ら作成した情報を、SUUMO・at home・HOME’Sなど複数の大手ポータルサイトに掲載することが可能です。
閲覧数などの反響も確認できるため、見直しによってどれくらいの効果が得られたかを検証することもできます。

空室率を下げるために掲載情報の見直しを検討している方は、まずECHOESの導入から始めてみてはいかがでしょうか。

>>ECHOES

内見時に好印象を持ってもらうよう準備する

入居希望者が内見時にネガティブな印象を持ってしまうと、契約に至らない場合があります。

例えば室内のほこりや、集合ポストに散乱したチラシ、回収されないままになっているゴミなどを放置していると、「管理が行き届いてない」「住民のマナーが悪い」といった印象を入居希望者に与えてしまいます。

室内や共用部を日頃からきれいに保つと、内見に来た入居希望者に好印象を与え、契約が決まりやすくなります。
さらに、すでに住んでいる入居者の満足にもつながり、長く住んでもらえるという意味でも、空室率を下げるのに効果的です。

リフォームを行う

リフォームは一定のコストがかかるものの、空室率を大きく改善する効果が期待できます。
ただし、漫然とリフォームを行うのはNGです。
むやみにリフォームを行っても、コストが回収できなくなる恐れがあります。

空室の原因が明らかに建物の老朽化である場合や、ターゲットの見直しをした上で必要と判断した場合には、リフォームを検討しても良いでしょう。

退去されないよう工夫する

空室対策というと、入居希望者を増やして空室を埋めることに意識が向きがちですが、空室を出さないよう予防するのも有効です。
そのためには入居者の満足度を高め、退去されないような工夫が必要です。

例えば、トラブルが起こった時に迅速に対応する、入居者の要望に可能な限り応えるなど、入居者管理をしっかり行うことで空室対策につながります。

料金面を見直す

家賃や更新料、敷金、礼金など、入居者の費用負担を減らす方法です。
ただし、この方法では収入が下がるため、むやみに料金を安くするのは推奨しません。
まずは上記で紹介した対策を行い、それでも料金面がネックになっていると判断した場合に限り、見直しを行いましょう。

以上のように、空室対策にはさまざまな方法がありますが、すぐに実施できて大きなコストがかからず、かつ効果の高いものから実施することをおすすめします。

特に、広告の見直しはすぐに実施でき、費用対効果も比較的高いので、空室率にお悩みの方はまず行いたい対策方法です。

空室対策についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

>>アパート・マンションの空室対策10選。やってはいけない方法や実施のタイミングも

まとめ:空室率の対策は賃貸経営の肝

空室率は賃貸経営における重要な指標の1つです。
エリアや賃貸物件の構造などに応じて、何%が妥当であるかを確認してください。

空室率を下げるには、原因を特定し、適切な空室対策を行う必要があります。
さまざまな対策方法がありますが、費用対効果の高い方法から始めてみてはいかがでしょうか。

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