登録日:2023.11.14

個人で物件を貸すメリットやデメリットを解説!賃貸による税金や保険、注意点

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目次

近年、自宅や相続した家を賃貸として貸したいと考える人が増えています。しかし、「家を貸すにはどうすればいいのか?」と悩み、なかなか始められない人も多いようです。

この記事では個人で賃貸として物件を貸したい人に向けて、賃貸を貸すメリットやデメリット、貸す時の流れ、注意点などを解説します。また、不動産を貸すなら事前に知っておきたい税金や保険の話もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

賃料の相場

物件を貸したいと考えた時、まず気になるのは賃料がどれくらいになるのかということ。物件の賃料は収入に関わるのできちんと把握しておきましょう。

物件の賃料相場は立地や間取り、周辺環境によって変わり、地域によっても差があります。

参考までに、首都圏とその周辺県の一戸建て賃料相場を表にまとめました。

賃料(万円)
東京都15.9万円
埼玉県8.7万円
千葉県8.1万円
神奈川県12.1万円
首都圏12.3万円

出典:年報マーケットウォッチ2022年・年度

基本的に、アクセスが良く人気のある土地に建っている一戸建てほど賃料は高くなります。しかし、築年数が古かったり、設備に不足があったりすると賃料は下がります。

賃料を設定する時は所有物件を客観的に評価し、競合物件と比較することが大切です。

個人で賃貸として物件を貸すメリット

物件を貸すメリットについて、「本業以外で収入を得られる」というのは、多くの人がご存じだと思います。実は家を貸すメリットは他にもいろいろあるので、こちらで紹介していきます。

安定した収入を得られる

賃貸として物件を貸す一番のメリットは、やはり安定した収入を得られることです。
入居者がいて、かつきちんと家賃を支払ってくれている期間は、収入がゼロになることはありません。

特に一戸建ては、長期的に住みたいと考えるファミリー層からの需要が高いため、一人暮らし向けのワンルームマンションより安定性が高いと言えます。

副業として会社の了解を得やすい

会社によっては副業を禁止している場合があります。しかし、そんな会社でも家を貸す賃貸業は認めているケースが多いです。

副業で収入を得たいけど、会社が副業を禁止している。そんな人に賃貸業は向いています。
ただし、必ず事前に会社の了解をとるようにしましょう。

資格・免許不要

家を貸し出すのに資格や免許は不要です。勉強したり、試験を受けたりする手間や時間をかけることなく、誰もが比較的スピーディーに始められます。

必要な資格や免許はありませんが、建物の評価や管理に関わる資格をとっておくと収入アップや業務負担の軽減が見込めるので、長い目で見た場合、賃貸業の傍らで資格の取得を検討するのがおすすめです。

空き家リスクを防げる

親や親族から家を相続した人の中には、何もせず放置する人がいます。しかし、明らかに放置されていると分かる家はゴミを不法投棄される、放火される、不法侵入されるなどの犯罪が起こりやすい傾向にあります。場合によっては近くに住む人や周辺環境に悪影響を与えることも。

自分自身では管理が難しい一戸建てを賃貸として貸すことは、こうした犯罪を伴う空き家リスクを防ぐことに繋がります。

将来の選択肢を増やせる

一戸建てを活用して収入を得る方法としては売却する方法もあります。しかし売却してしまうと、将来取り戻したいと思っても手遅れです。お金を払わない限り手元には戻りません。

賃貸として貸し出せば将来、自分や家族が再び住むことができます。将来の選択肢を増やせるので、空き家の運用方法に迷っている人はまず賃貸業を始めてみてはいかがでしょうか。

個人で賃貸を貸すデメリット

一戸建てを賃貸として貸し出すにあたってはデメリットもあります。次はデメリットを見ていきましょう。

空室リスクがある

賃貸業でもっとも気をつけなければならないのは空室リスクです。入居者が決まらず空室の期間が続くとそれだけ収入が減ってしまいます​​。一戸建ての場合、固定資産税などの維持費が生じることから、場合によっては赤字になってしまう可能性も考えられます。

空室が続くようであれば対策や売却を検討しましょう。

場合によっては空室対策が必要

前述の通り空室が続いている場合、空室対策が必要になりますが、空室対策の方法は多種多様。中には大きなコストがかかる方法もあります。

難しいのは、数ある空室対策の中から原因にマッチしたものを実施しなければ効果を望めないことです。特にリフォームを伴うようなコストのかかる空室対策は慎重に行わなければなりません。

空室対策が必要だと感じた時は、まず「なぜ入居者が決まらないのか?」という原因を考え、その原因に合わせた対策を行いましょう。

空室対策の詳しい方法については下記のコラムをご覧ください。
>>アパート・マンションの空室対策10選。やってはいけない方法や実施のタイミングも

入居者の管理をする負担がかかる

一戸建てを賃貸として貸し出している間は、建物の他に入居者を管理する負担もかかることに注意が必要です。具体的には、トラブルによるクレームがあった時の対応や家賃滞納時の対応などが含まれます。

また、大家さんの中には入居者が退去する際に、原状回復費用などで揉めてトラブルになる経験をした人も。このような入居者の管理は肉体的な負担はもちろん、精神的な負担もかかることを覚えておきましょう。

確定申告の手間がある

賃貸業で得た収入はすべて確定申告の対象になるため、決められた時期に手続きをしなければなりません。

確定申告の手続きは複雑なので、慣れないうちは時間と手間がかかります。時期が近づいたら早めに準備を進めましょう。自分での手続きが難しい場合、税理士に代行を依頼することが可能です。

なお、確定申告を忘れるとペナルティとして35〜40%の重加算税が課せられます。忘れないようにご注意ください。

物件を貸す時の流れ

続いては、賃貸として物件を貸す時の流れについて解説します。家を貸す時は賃料などの条件を設定したり、入居者を募集したりといった過程が必要です。何をしなければならないのか、以下を読んでイメージを掴んでおきましょう。

1.査定を依頼する

最初に行うのは建物の査定を依頼することです。査定では立地や周辺環境、建物の内部などを見て、目安の賃料を提示してもらえます。所有物件の客観的な評価を知れるので、後に賃料を設定する時に欠かせません。

ただし、査定の細かな基準は管理会社によって異なるため、依頼先によって提示される賃料も変わります。より適切な賃料を設定するためには、複数の管理会社に査定をしてもらうのがおすすめです。

2.管理会社を選ぶ

賃料査定が終わったら、パートナーとなる管理会社を選びます。管理会社には賃貸借契約の締結や更新業務、入居者探しなどを依頼でき、業務負担を減らせます。スムーズな賃貸運用ができるよう、実績が豊富で信頼できる管理会社と契約しましょう。

3.賃料や条件を設定する

管理会社が決まったら、家賃や敷金、礼金などの賃料と入居の条件を設定します。

基本的には大家さんの裁量で決めて問題ありませんが、あまり条件が厳しいと空室を招く原因になります。一方で条件が緩いと入居者との間でトラブルが起こるリスクが高まるため、物件や入居者のニーズを踏まえた適切な条件を設定することが大切です。

4.建物の修繕をする

築年数の古い物件や設備が故障している物件は、入居者を募集する前に修繕やリフォームをします。空室リスクを考えると徹底したくなりますが、修繕・リフォーム箇所が増えればそれだけコストも嵩みます。

まずは生活に支障が出るような不具合を直したり、入居者からの印象に関わる汚れや傷をキレイにしたりすることを優先しましょう。その上で予算に余裕があれば、より入居者を集めやすくなるよう、設備を増やしたり内装を変えたりすることも検討してみてください。

5.入居者を募集する

建物の状態を改善したら、いよいよ入居者の募集を始めます。入居者の募集方法はいくつかありますが、近年はインターネットを利用し、ポータルサイトを介して入居者募集をする方法が主流です。

不動産のポータル掲載システム「ECHOES」では、オーナー様自ら作成した情報を、SUUMO・at home・HOME’Sなど複数の大手ポータルサイトに掲載することが可能です。
閲覧数などの反響も確認できるため、見直しによってどれくらいの効果が得られたかを検証することもできます。

入居者募集の際は、ECHOESの活用を検討してみてください。
>>ECHOES

入居者募集は空室を避けるための大事な業務の1つ。下記コラムを参考に、空室回避に効果的な募集を行いましょう。
>>入居者募集のテクニックを解説!大家さんが実践していることとは?

6.契約する

入居希望者からの申し込みがあったら、審査を経て契約します。審査の最終判断が大家である自分にある場合、大事な一戸建てを安心して貸せる人物かどうかをしっかり見極めましょう。

少しでも早く入居者を決めて収入を得たいと焦る気持ちはありますが、入居者とのトラブルのリスクを減らしたり、所有物件を守ったりするために大切です。

管理会社を利用せず貸し出すことも可能

物件を貸す時の流れとして管理会社を選ぶ過程を紹介しましたが、希望次第では管理会社を利用せず、自分自身で物件を管理して貸し出すことも可能です。

物件を自己管理することのメリットとしては、業務を委託しないため管理費用がかからないこと、すべてを自分自身で行うため賃貸業のノウハウが自然と身につくことなどが挙げられます。

一方で管理会社を利用した時に比べて業務負担が増えるため、時間に余裕がない人には向いていません。また、入居者とトラブルになった時も自分自身で対応しなければならないため、精神的な負担も大きいでしょう。

管理会社を利用する場合としない場合、双方のメリット・デメリットをよく理解し、自分に合ったスタイルで賃貸運用をしましょう。

個人で賃貸を貸す時の税金について

賃貸として物件を貸すにあたって、税金と保険の知識は身につけておきたいところです。そこで、まずは税金について解説していきます。

賃貸業に関係する税金には以下の2種類があります。

固定資産税および都市計画税

固定資産税および都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して課される税金です。対象者が“所有者”なので、賃貸として家を貸している間も貸主である大家さんが負担します。

税額は課税標準額に税率を乗じることで算出され、固定資産税の税率は1.4%です。都市計画税の税率は市町村によって異なり、上限0.3%とされています。

不動産所得に対する所得税および住民税

家を貸すことで不動産所得を得た場合、所得税および住民税などの税金を納める義務が生じます。

不動産所得は、家賃収入によって得た金額から固定資産税および都市計画税、損害保険料、修繕費などの必要経費を除外して算出します。

不動産所得 = 収入金額 - 必要経費

税率は累進課税方式となっており、他の給与所得などを含めた所得の合計額が大きいほど税率も上がります。

所得税の計算方法は以下の通りです。

所得税 = 所得 × 税率 - 控除額

個人で賃貸として物件を貸す時の保険について

続いては保険について解説していきます。

賃貸として家を貸す場合、貸主である大家さんはあらかじめ建物に対して火災保険を掛けておくことが一般的です。一方で家財に対する火災保険は、借主である入居者が自ら掛けるのが基本とされています。

もともと住んでいた家を賃貸として貸す場合、家財に対する火災保険は不要なので解約しておきましょう。

また、入居者には家財に対する火災保険とセットで「借家人賠償責任補償」も掛けてもらうのがベスト。万が一入居者の過失によって火災が起こってしまった時に、大家さん自身が契約している火災保険を適用してもらうため、そして原状回復費用や損害賠償請求に伴う大家さんと入居者のトラブルを防ぐために大切な補償です。

個人で賃貸として物件を貸す時の注意点

最後に、賃貸として物件を貸す時の注意点をまとめました。より多くの利益を得たり、トラブルを防いだりするために大事な内容となっておりますので、ぜひご一読ください。

ローン返済中の貸し出しはできない

住宅ローンを借りてご自身の家として購入した物件は、ローンの返済中、賃貸として貸すことができません。住宅ローンの資金使途について、「マイホームの購入」であると金銭消費貸借契約によって決められているためです。

ただし、転勤や長期出張などのやむを得ない事情があれば、銀行に相談することで、ローン返済中の家の貸し出しを認めてくれる場合があります。

売却した場合の利益と比較する

一戸建てを活用して収入を得る方法として、売却する方法もあることは前述の通りです。長く安定した収入を得られるのは賃貸ですが、売却には「一度にまとまった収入を得られる」「建物の維持費がかからない」など、賃貸とは異なるメリットがあります。

また、立地や建物の状態に問題があり、なかなか入居者が見つからないような物件は、維持費の関係もあって賃貸よりも売却のほうが大きな利益を得られる可能性が高いです。
家を手放すつもりで賃貸として貸す場合、まずは売却した場合と利益を比較してみることをおすすめします。

参考までに、貸したほうが良いケースと売却したほうが良いケースをまとめたのでチェックしておきましょう。

貸したほうが良いケース売却したほうが良いケース
・駅へのアクセスが良い
・周辺にスーパーやコンビニが多い
・学校や公共施設が近い
・建物の状態が良い
・将来、自分や親が住む場所として家を残したい
・駅へのアクセスが悪い
・周辺に買い物できる場所がほとんどない
・学校や公共施設が遠い
・建物の状態が悪い
・家を完全に手放したいと思っている

普通借家契約と定期借家契約の違いを理解しておく

賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があり、更新の可・不可が異なります。

普通借家契約は契約期間満了時に、借主が望めば契約を更新することが可能です。大家さんの都合で契約の更新を拒否したい場合、正当事由と立ち退き料が必要になります。

一方で定期借家契約では、契約期間満了時の契約更新ができません。借主は退去しなければならず、大家さんの正当事由や立ち退き料も求められません。

以上の違いを理解し、自分の目的や将来に適した種類の契約を選びましょう。長く賃貸業を続けるのであれば、普通借家契約のほうが家賃相場が高くおすすめです。

しかし、転勤や長期出張などで一時的に家を貸すだけならば、契約満了時に確実に家を取り戻せる定期借家契約が向いています。

入居審査をしっかり行う

家を貸すにあたって必ず行われる入居審査は、形だけで済ませるのではなく、本当に安心して家を貸せる入居者か、しっかりと見極めなければなりません。入居審査が甘いと家賃を滞納したり、家をゴミ屋敷にしてしまったり、さまざまな入居者トラブルのリスクが高まります。

管理会社を利用する場合、入居審査は管理会社が行います。契約前に実績をチェックし、きちんと入居者管理を行ってくれるような管理会社を選びましょう。

貸し出す前の状態を記録しておく

大家さんと入居者の間で問題になりやすいのが、退去時の原状回復についてです。原状、つまり家を貸し出す前の状態を写真などで残しておかなければ、退去時に発見された傷などがもともとあったものなのか、入居者がつけたものなのか判断できません。

トラブルを避けるために、貸し出す前の家の状態はしっかりと記録しておきましょう。

まとめ:自分に合ったスタイルで賃貸経営をしよう

この記事では個人で賃貸として物件を貸したい人に向けて、メリットやデメリット、貸す時の流れ、注意点、税金や保険の話などをまとめました。

賃貸業は、成功すれば本業以外で安定した収入を得られますし、相続した家を持て余している場合なども空き家リスクを防げます。無駄に維持費のみかかってしまうこともありません。

通常、家を賃貸として貸す時は管理会社と契約しますが、中には管理会社に頼らず、個人でがんばっている大家さんもいます。自分に合ったスタイルで賃貸経営をしましょう。

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